看護師として29年、現場を見てきた視点から、「3時間のデイサービス」の料金・内容・活用法・心理面の不安解消までを一気に解説します。短時間でも十分な理由、施設への伝え方、長期計画の立て方まで、今日から使える形でまとめました。
読者の声
- 「義母のデイサービス、3時間だけじゃ申し訳ないかな…」
- 「たった3時間で迎えに来てもらうなんて、施設の方に迷惑じゃないかしら」
- 「他の家族は長時間なのに、短時間で恥ずかしい」
- 「3時間で何ができるの?」
この記事でわかること
- 料金と内容:3時間利用の具体的な費用・受けられるサービス
- 現場評価:スタッフ視点で見た短時間利用のメリット
- 実践法:パート勤務に合わせる時間設計/連絡・調整のコツ
- 心理面:罪悪感が要らない理由と成功事例
- 長期計画:介護度変化への対応・費用対効果の考え方
はじめに - 看護師からのメッセージ
29年間、数百人の利用者さんとご家族に寄り添ってきました。
3時間利用は「短すぎ」ではありません。むしろ「無理なく続けられる最適解」になる場面が多く、満足度も高いのが実情です。
結論:3時間利用は十分に価値がある
入浴・機能訓練・レク・健康チェックなど、必要なサービスを凝縮して受けられます。
- 時間の長さより「その人に合った中身」重視
- 短時間だから集中でき、疲労も軽減になる
- 家族の就労継続と、在宅生活の持続の可能性が高まる
デイサービス3時間利用の基本情報
料金目安(要介護度別)
要介護度 | 基本料金目安/回(1割) | 月4回利用の目安 | 備考 |
---|---|---|---|
要介護1 | 約400円 | 約1,600円 | 3〜4時間未満想定 |
要介護2 | 約460円 | 約1,840円 | 週1〜2回の利用が多い |
要介護3 | 約530円 | 約2,120円 | 見守り強化 |
要介護4〜5 | 約600円 | 約2,400円 | 個別性に応じ調整 |
※ 地域・加算・体制により差があり。目安としてご覧ください。
追加費用(実費)
項目 | 内容 | 目安金額 |
---|---|---|
食事 | 昼食をまたぐ場合/おやつのみ | 500〜700円/100〜200円 |
入浴 | 介護保険内の入浴介助 | 約50円 |
その他 | おむつ・タオル等(施設方針による) | 実費 |
3時間でできること(モデルスケジュール)
時間 | 内容 |
---|---|
9:00 | 送迎(約30分) |
9:30 | 到着・健康チェック |
9:45 | 個別機能訓練 |
10:30 | レクリエーション・脳トレ |
11:15 | 入浴(希望者) |
11:45 | ティータイム・談話 |
12:00 | 送迎(約30分) |
送迎はサービス時間に含まれない
サービス時間 | 3時間 |
送迎(往復) | 約1時間 |
合計外出時間 | 約4時間(例:9:00出発→13:00帰宅) |
現場で見た3時間利用の実際
利用者の声:「3時間くらいでちょうどいい」 「帰宅後も疲れすぎない」
スタッフの本音:個別対応しやすく、健康チェックや入浴も丁寧に実施できる。
費用対効果(要介護2・月8回の比較例)
コース | デイサービス料 | 食事代 | 合計 |
---|---|---|---|
3時間×8回 | 約3,680円 | 0円(自宅昼食) | 約3,680円 |
6時間×8回 | 約6,400円 | 約4,800円 | 約11,200円 |
差額約7,520円。時給950円・月32時間なら月収約30,400円で十分カバー可能。
金額以上に、転倒不安の軽減・健康チェック・社会参加という「安心の価値」が得られます。
初回面談で伝えるべき5ポイント
① 3時間利用の理由(前向きに伝える) |
② 性格・好み(会話/制作/音楽など) |
③ 就労状況と連絡体制(月水金9–15時/30分以内に連絡可 など) |
④ 健康面の留意(血圧・歩行・水分など) |
⑤ 家族の希望と感謝(短時間でも楽しく/協力への感謝) |
前日準備チェックリスト
カテゴリ | チェック項目 |
---|---|
健康 | 体調・睡眠・食欲/朝の薬準備/血圧確認/水分摂取 |
持ち物 | 着替え・タオル・常用薬・連絡帳・お薬手帳・安心小物 |
声かけ | 「明日○○さんに会えるね」「楽しみだね」など前向きな会話 |
安全管理の実際(3時間の流れ)
到着15分:バイタル・体調・服薬・歩行観察 |
中間2.5時間:15分毎の見守り/水分声かけ/トイレ・入浴安全配慮 |
帰宅前15分:再バイタル/申し送り/服薬確認/送迎引き継ぎ |
「短時間で申し訳ない」を手放すマインドセット
Before(罪悪感) | After(最適化) |
---|---|
3時間しか預けられない | 3時間で必要十分、感謝の選択 |
短時間=不足 | その人に合う適正時間 |
仕事のために預ける | 家族全体の生活の最適化 |
持続可能な在宅介護の長期計画
- 3か月ごと:ケア会議で満足度・体調・就労状況・目標を見直し
- 介護度変化:3時間継続可。必要に応じて機能訓練・入浴・見守り強化
- 家族の健康:介護者の休息計画(週・月・季節ごと)を先に確保
次のアクション(見学・相談で確認すること)
見学チェック | 質問リスト(3時間利用) |
---|---|
清潔感/安全設備/利用者の表情/スタッフの応対 | 3時間利用者の割合/当日の流れ/送迎調整可否/緊急時連絡/費用内訳 |
見学予約の伝え方(例文)
「パート勤務と在宅介護を両立中です。3時間程度の利用を検討しており、実際の流れや送迎・費用の詳細を拝見したく、見学可能な日時をご教示ください。」
ケアマネ相談ポイント(例文)
「月・水・金の9〜15時勤務に合わせて、母の安全と社会参加を両立できる3時間利用の計画を一緒に考えていただけますか。」
時間の長さは愛情の深さでは測れません。「その人に合う適正時間」を選べば、3時間で十分に効果が出ます。
罪悪感は手放して、あなたの家族にとっての最適な介護を一緒に見つけていきましょう。
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